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舞うが如く 第三章 10~12

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 舞うが如く 第三章
(12)山南敬助


盛大を極めた新撰組の総局長、芹沢鴨の葬儀も無事に終わります。
琴が単身、壬生寺から戻りかけたとき沖田と連れ立った
山南敬介に呼びとめられました。



 山南は仙台藩を脱藩して、
江戸に出てきたとされていますが、その出生は定かではありません。
小野派一刀流の免許皆伝で、後に
北辰一刀流・千葉周作の門人となりました。


 近藤勇の天然理心流剣術道場・試衛館に他流試合を挑み、
相対した近藤に敗れてしまいました。
この時から、近藤の腕前や人柄に感服し、近藤を慕うようになり、
以後、試衛館の門人たちと行動を共にするようになりました。
このころの試衛館には、後の新選組幹部となる土方歳三や沖田総司、
永倉新八らがすでに集結していました。



 とりわけ、道場に住みこみながら
剣術に励んでいた沖田少年とは相性が良く、
年の離れた兄のように、よく面倒を見ていました。
子供のころから試衛館で、ひとりぽっちで育ってきた沖田にしてみれば、
心強い兄のような存在になってくれたのが、この山南敬助でした。



 3人が立ち止まっているところへ、
葬儀の役目を終えた土方と近藤が通りかかりました。
山南の顔を見つけると、ほっとしたように立ち停まります。
その背後の人影を、呼び寄せました。
あらわれたのは、山南の愛人・明里です。




 「途中でお主を見失ったようだ。
 近藤さんと島原へ繰り出すつもりゆえ、、
 一緒に途中まで行く予定であったが、
 それではあまりのも、野暮すぎると言うものだ。
 長州の浪士たちが、洛内を暗躍中であるとも聞く。
 芹沢や平山の二の舞にならぬよう、しっかりと警護してくれよ、
 あとは、まかせたぞ山南。」