舞うが如く 第3章 7~9
京都所司代の、会津藩邸に呼びつけられた近藤が、
浮かぬ顔のままに、八木邸に戻ってきました。
朝稽古を終えて道場を出てきた土方が、その近藤を呼びとめます。
「曇った顔だな。
だいぶ、絞られたとみえる。
難題であるか?」
「歳か、
山南と、沖田を呼んでくれ。
事態は深刻だ。
朝廷からも厳命が、名指しで来ておる。」
「大和屋の一件か?」
「それもあるが、
それだけでは済みそうもない。
ひと時ほど後に、前川邸の奥座敷で話し合おう、
俺も少し、考えを整理しておこう。」
「近藤が考えるとは、きわめて珍しい・・・
分かった。
段取りは俺がつけておく、
他に、呼ぶ者はいるか?。」
「いや、奥座敷には
人を近づけないようにしておいてくれ。
わしら4人の、密談といたす。」
それだけ言うと近藤が、
重い足取りのまま、母屋の裏手へと立ち去りました。
入れ違いに、琴と姉妹を引き連れた沖田が、
表門から戻ってきました。
歳三から耳打ちをうけた沖田が、
姉妹を呼んで、母屋の方へと返します。
姉妹の姿を見送る琴へ、沖田が背後から声を掛けました。
作品名:舞うが如く 第3章 7~9 作家名:落合順平