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舞うが如く 第3章 4~6

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 その最初の事件は、水口藩公用方が会津藩邸にて
新選組の所業の悪さを訴えたことから始まりました。
それを伝え聞きつけた芹沢が、
永倉新八・原田左之助・井上源三郎・武田観柳斎の4人を差し向けて、
当事者の身柄引き渡しを、水口藩に求めました。

 水口藩はこれに驚きます。
平身低頭謝罪して、詫び証文を書き、その場はなんとか納めました。
しかし、詫び証文を書いたことが水口藩主の耳に達せば、事と次第によれば
公用方の断罪も逃れられなくなってしまいます。
 そこで二条通りに直心影流道場を開いている戸田栄之助を通じて、
芹沢に証文の返却を依頼しました。
新選組側より、会議の場所を提供すればそこで返却する、との回答があり、
体のいい宴会の要求が突き付けられます。

早速その翌日に、
約束通り角屋(すみや)にて宴席が設けられました。
席上、証文は問題なく返却されますが、宴もたけなわとなった席上で、
酒がまわると酒乱となる芹沢が、店の対応に腹を立てて
遂には暴れ始めてしまいました。

自慢の鉄扇を振り回し、席上に出ていた膳はもとより、
店内の食器や什器を悉く叩き割ってしまいます。
挙げ句の果てには、廊下の手摺りを外し、
酒樽に叩きつけて、帳場を酒浸しにしてしまいました。

 そして最後には、
店主の角屋徳右衛門に、7日間の営業停止を申し渡して、、
自身は意気揚々と引き上げていきます・・・

(注釈・角屋は寛永18年(1641年)に創業された店で、
揚屋の遺構としては唯一のものとして、国の重要文化財に指定されました。
現在は「角屋もてなしの文化美術館」として公開されています。)