舞うが如く 第3章 1~3
舞うが如く 第三章
(2)清河の野望
京に到着した、2月23日の夜のことです。
それまで浪士組の外で行動していた清河八郎が、
新徳寺の本堂に、浪士組の全員を集めました。
「京へ来たのは近く上洛予定の
将軍家茂公の守護のためとはただ名のみである。
我が真実は、尊皇攘夷の先鋒たらんとすることにある。
我々は幕府の録を食むものではない。
天皇の命令を妨げるものは、
幕府の役人といえども容赦しないのだ」
と演説をはじめます。
この当時に清河は、
すでに江戸において尊王攘夷を論ずる
「虎尾(こび)の会」を結成しています。
浪士隊の上洛の真の目的が、将軍の警護ではなく
朝廷の勅命を受けて、攘夷の先陣部隊になることにあると力説をします。
「ご異存はござるまいな」と決めつけ、
すでに用意されていた朝廷に提出する建白書に
全員の署名をもとめました。
清河の腹の中では
浪士組の人数を利用して、朝廷に建白書を出し、
攘夷実行の朝命をうけ、関東に帰り
攘夷を実行するという計画が秘められていたのです。
作品名:舞うが如く 第3章 1~3 作家名:落合順平