舞うが如く 第3章 1~3
行列の先頭の方にいた薩摩藩士たちは、
正面から行列に乗り入れてきた騎乗のイギリス人4人に対し、
身振り手振りで、下馬をして、
道を譲るように説明します。
イギリス人たちは、
「わきを通れ」と言われただけだと思いこみます。
「わき」といったところで、
行列はほぼ道幅いっぱいに広がっているために
結局4人は、どんどん行列の中を逆行して進んでしまいました。
鉄砲隊も突っ切り、
ついに、久光の乗る駕籠のすぐ近くまで馬を乗り入れたところで、
供回りの藩士たちの無礼を咎める声に、さすがに
「どうもまずい」と、ようやくに気づきはじめます。
しかし、下馬して敬意を表するという
発想は、この時の4人には、まったくありませんでした。
今度は「引き返せ」と言われたと受け取り、
馬首をめぐらそうとして、あたりかまわず、
無遠慮に動きまわってしまいます。
その時、数人の藩士が
抜刀して、4人めがけて斬りかかりました。
4人は、驚いて逃げようとしますが、すでに遅く、
リチャードソンは肩から腹へ斬り下げられて、
致命的な重傷を負ってしまいました。
桐屋という料理屋の前から、200メートルほど先で落馬をして、
追いかけてきた藩士に、とどめを刺されてしまいます。
作品名:舞うが如く 第3章 1~3 作家名:落合順平