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山本 かの子(偽名)
山本 かの子(偽名)
novelistID. 34002
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バツイチの娘。~未成年のあたし~

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さよならじゃなくてまたね。

時は経ち、本格的に介護現場実習が始まった2月。
机上の上の空論とは違い、現場で実習できることはすごく至福のときだった。
お昼の弁当は自分で作り...夜ごはんも自分で作り...【君】と食べる。
最初は意気込んでやっていたが、三日坊主で終わった。
『ごめん、今日はほか弁ね』と【君】に云うと、
『かまわないよ』とあーだーこーだ云われなくてホっとした。
しかしあたしの脳内過ったのは、『これがもし社会人だとして【君】と本格的に同棲していたら...【バツイチの母】とやっていることが同じだ、あたし』と俯瞰していたあたしがいた。
そして【君】が内定をもらったということは、3月末にはいよいよ遠距離恋愛が始まることを知らせていた。周りには『淋しくなるねー』と云われたが実感がまったくなかった。
だって【君】のことだから『やあ、来ちゃった』って来る気がしていたもの。

【君】の引っ越しが終わりいよいよ【君】は社会人になっていくんだね。
そして最後の夜がやってきた。
『最後って気がしなくて本当は泣きじゃくりたかったんだよ?』
『けれど【君】に気づかれないように、声を押し殺して泣いていたんだよ。【君】の胸の中で』

早朝『いってくるねー』ねむけまなこのあたしは玄関から聴こえた【君】の声だけが、耳に残った。
ちゃんとした見送りもできないまま『いってらっしゃい』
『あっけなく過ぎてしまった』

春休みが明けて、大学3年生のあたし。社会人1年生の【君】。

あたしは【君】に捨てられたようで、この街にひとりどこか取り残されたみたい。
もしも、もしもだよ?
【君】がこの街で就職をしていたのならば、
あたしは、あたしを傷つけることもなかったのかな?
あたしをひとり置いて行ったことが【君】への罰なんだと思う。

本当に【君】があたしとの未来を描いていてくれたのならば、
あたしが大学卒業するまで、支えてほしかった。
見ててほしかった。
『行かないで』って云いたかった。



つづく