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茶房 クロッカス その4

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 翌日の午後、例によって沙耶ちゃんとゆっくりタイムを過ごしている時のこと。
 沙耶ちゃんが気になることを言い始めた。
「ねぇマスター、うちの母なんですけどねー」
「うん、お母さんがどうかした?」
「えぇ、昨日帰って来てからの様子がどうも変なんですよぉ」
「ふうぅーん。どんな?」
「何だか心ここにあらずみたいな感じでぼーっとしてるかと思えば、急にハイテンションになって、メチャメチャ楽しそうに話し出したり……」
「へぇ〜」
「いつもはどちらかというとおっとりタイプで、物静かな方なのに……、一体どうしちゃったのかしら?」
「ふぅーん、理由は聞かなかったのかい?」
「えぇ、何だか聞きそびれちゃって……」
「へぇ〜」
「もしかしたら、恋してたりして……ふふっ」
「うーん、沙耶ちゃんのお母さんならまだ若いんだから、それもアリかも知れないぞっ。もしそうだったら沙耶ちゃんどうする?」
「どうって、相手がいい人だったら私、応援しちゃうな!」
「へぇ、お母さんが再婚してもいいんだ」
「だって、お母さんは今まで私のために苦労して来たんだし、私がもしお嫁に行ったらお母さん一人になっちゃうでしょ。そうなったら可哀想だもん」
「そうか……、沙耶ちゃんは優しいなぁ」
「エヘヘ」
 照れくさそうに沙耶ちゃんは笑った。
 俺も沙耶ちゃんのお母さんと同じかも知れない。
 いつもいつも、気が付くと優子からの電話を待っている俺がいる。
 俺は内心、沙耶ちゃんに優子と出会ったことをしゃべりたくて仕方なかった。
 だが、今話したって、この先どうなるか全く分からない状態で話すのも何だか気恥ずかしいような気がして言えないでいた。