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茶房 クロッカス その4

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「あー、ごめんごめん。実は俺たちはその昔、高校生の時に付き合ってたんだよ」
「で、私が振られちゃったの。うふふっ」
「またぁ〜。優子、勘弁してくれよー。俺、本当に後悔してるんだから……」
「うふふふっ」
「優子。今日はやけにおめかししてるね!」
「あらイヤだ。龍子さんったら、……そんなことないわよ。いつもと一緒よ! うふふ」
「そう言えば、最初にうちに来た時は仕事中だったせいだろうけど、シンプルなグレーのスーツだったよな。でも今日の服装は……」
 俺は改めて優子を上から下へと眺めた。
 今日の優子は、柔らかそうな淡いピンクの生地(シルクだろうか?)の前たてに、幾層にも襞を取ったデザインのブラウスで、その襞には、あちこちに煌めく物が配置されており、店の照明を受け、優子が動く度にキラキラ輝いている。
 そのブラウスは腰の辺りで膨らんで、その下からシルバーグレーのタイトなスカートが続いている。
 そして、そこから伸びるほっそりした白い二本の脚は、久しぶりに俺の性感を刺激した。
「優子、そのブラウス素敵ねっ。結構したでしょう? スパンコールの配置がさりげなくて、とても効いてるわよ」
「そう?」
 優子が、はにかんだようにエクボを作った。
「うん、俺もそう思うよ。さっき店に入って来た時、天の川から織姫がやって来たかと思ったよ」
「まっ、悟郎くんたら……、お世辞も上手になったのねっ」
「そりゃあ俺だってこの年になれば、お世辞の一つくらいは言えるさ。でも言っとくけど、今のはお世辞じゃあないよ」
 そう言って俺は優子を熱く見た。
 優子は照れてか、視線を外し俯くと小さな声で言った。
「ありがとう」と。
 そしてふいに顔を上げると、真っ直ぐ俺を見て、
「――そんなこと言ってくれるのは悟郎くんだけよ」と言った。
《ん? 今のは俺への答えなのか……?》と、一瞬考え、そして同時に
《まさかな……》と、打ち消した。
 その後も俺たちは、おりゅうさんも交えて楽しい会話を交わした。
「そろそろ出ようか」と俺が言った時、腕時計は九時を指していた。
「あら、まだ宵の口よ。もっとゆっくりして行けばいいじゃない」
 と、おりゅうさんは引き留めたけど、
「いや、明日も店があるし……」と言って、俺は席を立った。
 優子は少し淋しそうに微笑むと、諦めたように席を立ち、俺に従った。