王の光
そのとき、彼女もその変な感覚に気が付いたようだ。ジルも二回目にしてその原因が分かった。彼は、自分のファーストネームを名乗っていない。
彼のことをジルと呼ぶ人物は多いが、それは男に限ることだった。女で彼をジルと呼ぶ人物を、彼は一人しか知らない。その人物も目の前の女性と同じく、金色の髪が印象的だった。
「まさか……」
「と、とにかく! 早く行かないと」
リアは動揺を隠すように、早く小屋から出ようとした。だがジルはそれをさせない。少し躊躇したが、ついにそれを口にした。
「もしかして、ソフィーなのか」