王の光
「俺もエッフェルさんのこと、ソフィーって呼ぶからさ」ジルは少し身を乗り出し、目線を彼女に合わせる。「ダメ?」
「私、クリューガー君のファーストネーム知らない……」
「俺はジルヴェスター。長いからジルでいいよ、ソフィー」
「う、うん……。分かった、ジル……」
まだ慣れないからか、多少のぎこちなさはある。しかしそれでも構わない。いきなり親しくなるのは無理だろう。まずは少しずつ、二人の距離を縮めていければいい。
そこまで考えて、数分前まで彼は自分がソフィーから告白される気持ちでいたことを思い出した。今では彼が、彼女の魅力に取りつかれて、振り向いてもらおうとしている。彼は思わず苦笑いを浮かべた。