王の光
ゆっくりと目を閉じる。脳裏に浮かんだのはリアの姿。初めて会ったときはまだ子供だったが、軍という環境にいるからか、今では年齢に似つかないほど大人びている彼女の姿だ。自分は彼女に、どういった感情を持っていたのだろうか。それが罪悪感なのか、それとも好意に似たものだったのか。それはアントニオ自身にも分からない。
リアの横に、一人の少年が浮かび上がった。先ほど助けた、民間人の少年だ。
――王……?
その少年の姿が王のようであったことにアントニオは驚く。しかし王の横に立つ女王の姿は、とても綺麗だった。
「リアを、頼……」
アントニオが少年に向けて言葉を発した瞬間、ヒネーテは静かに崩れ落ちた。そして同時に、アントニオの意識も崩れ落ちていった。