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舞うが如く 第2章 10~12

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(11)土方と木曽八景

 「近藤さんは構えた岩で、
さしずめ歳(土方)さんは、考える水だ。」

 「面白いたとえですが、意味がよくわかりませぬ。」

 所々に雪の残る木曽路を、
並んで歩く琴と沖田の会話です。
本庄宿の一件以降さ程の騒ぎもなく、
旅は上州碓氷の関所と峠を越え、
信州佐久の山並みを南西に進みながら
諏訪湖から木曽路へとさしかかりました。


中山道の宿場は全部で六十九次あり、
京都三条大橋がすぐ近くとなった草津宿の追分で、
五十三次を有する東海道と合流します。
琵琶湖疎水にかかる瀬田の唐橋をわたれば、大津宿となり
目的の京都は目と鼻の先になります。

 草津宿は 第六十八番目の宿で、 
日本橋より百三十里余り(514.3㎞・東海道では五十二番目の宿)として、
今も昔も「うばが餅」が名物で、
本陣が2軒、脇本陣が2軒、旅籠が70軒余を構える、
宿場街で、多くの旅人でにぎわっています。

 木曽路は、ほぼその中間点です
木曽八景は近江八景になぞらえて、尾張中納言宗勝のころ(1743年前後)に、
尾張藩の書物奉行をしていた松平君山が、
木曽路を訪れて作ったといわれています。
木曽の北部より「八景」がはじまり
おおくの風景画とともに、それぞれには和歌が
詠まれています。