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舞うが如く 第2章 10~12

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 その第3組には、
試衛館の四天王をはじめとする者たちが集められました。
 館長の近藤勇は「先番役割」として、道中の宿を手配する役目で先に発ったため、
代わって元水戸藩士の芹沢鴨が、小頭として統率をとることになりました。

 この3組には、良之助と共に琴も加わりました
琴はためらうこともなく、沖田総司と肩を並べて歩きはじめました。
沖田もまたそれを自然に受け止めて、双方から歩み寄っての旅の道ずれとなります。
その少し後方を、兄の中沢良之助と土方歳三が、
二人を見守るように歩きます。



 最初の事件が起きたのは、
江戸を出発してから2日目のことでした。

 江戸を離れて約20里余り、、明日は本庄宿という時に、
近藤に宿割りの役目が回ってきました。

 「しかしながら近藤に、そういう雑務の才は無い。」
と土方歳三は危ぶみます。
剣にかけては勇猛で知られる近藤ですが、
こと段取りごとや算盤、さらには細かい配慮ともなると
「実に危ないこと、このうえなし」と笑いのけます。

 この土方の懸念が、的中してしまいます。
忙しく宿を振り分ける近藤が、有ろうことか芹沢鴨に
宿を割り振る事を忘れてしまいました。

 へそを曲げた芹沢に平謝りに謝る近藤ですが、
芹沢は宿場の真ん中に、大かがり火を焚いて
野宿をするという、とほうもない暴挙に出ました。

 濛々と立ち込める煙の中で、宿場中が大騒ぎになり、
浪士隊の世話役たちが奔走します。
しかし、烈火のごとく怒りぬく芹沢は、いつもの鉄扇を振りまわしては、
近藤を無能呼ばわりをして、おおいに悪態をつきまくります。
一向に譲る気配が見えないまま、宿場のすべてが、
ついに大喧騒に包まれてしまいます。

 宿屋のニ階から、
いつまでも収まりのつかない、この修羅場を眺めてきた山南が
ついに怒りと共に、太刀をつかんで立ち上がってしまいます。

「芹沢を切りすてる」と息巻く山南を
琴と沖田、良之助たちが必死の思いで押しとどめます。
しかし、良之助がふと背後を振り返えると、
土方は無言で部屋に寝ころがったまま、
じっと天井を見つめていました。