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舞うが如く 第2章 7~9

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(9)浪士組の誕生

 文久3年正月7日、老中板倉周防守から
松平主税介(講武所剣術師範役)に対して通達がありました。

「今般御政事向追々御改革遊候に付ては
浪士共の内有志の輩御集に相成、一方の御固め可被仰付候。
尤も遂探索一旦過失有之候歟、又は遊惰に耽候共、改心之上尽忠報国に志厚き輩、
巳往の忌憚に不拘出格之訳を以て、御免し之儀も可有之候間、
其心得にて名前取調、早々可被申聞候事。

 正月七日浪士取扱役 松平主税介殿」(原文のまま)

 つまり、「このたび政事の改革にあたって、
浪士たちの内で、志のあるものを公募する。
尽忠報国の志があるならば、前科がある者でも罪は免除する」
という内容です。

 この前年の10月に、松平主税介が浪士を利用することを
幕府に献策して、それが受け入れられた結果でした。
「浪士取扱」には松平上総介(主税介から昇進)の他に、
鵜殿鳩翁が就任しました。
その下役の「浪士取締」には、
山岡鉄太郎、窪田治部右衛門、松岡万が任じられ、
関東一円に広く浪士募集が行われました。

 この募集案は、庄内(山形県)浪士の清河八郎が提案して、
松平主税介を通して幕府に献策したものといわれいます。
清河と浪士取締の山岡鉄太郎は剣術の同門で、
かねてからの友人という間柄でした。

 当時、清河は殺人罪でおたずね者でした。
「前科がある者でも、尽忠報国の志があれば採用する」という条文は
実は、清河八郎自身を赦免するのが目的だったともいわれています。

 この浪士募集に応募したのが
実戦剣法を得意とする「試衛館」の面々です。
館長の近藤勇をはじめとする、土方歳三や井上源三郎、
山南敬助と沖田総司たちでした。
また道場に居候していた永倉新八と藤堂兵助が
この「浪士募集」を知り、参加を決めたのは、
文久3年の1月半ばのことだともいわれています。