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舞うが如く 第2章 7~9

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 着地の瞬間に、さらに体勢をしずめた琴が
さらに一歩を踏みこみました。
近藤の大太刀を、くるりと左半身でかわしながら、
その懐深くに飛び込みます。
下段から、斜め上段に向けて、琴の、
剣先が走りました。

 近藤の唸りを上げた大太刀は
琴のひとつに束ねた髪と、右の頬とを掠めます、
さらに右肩をきわどく通過したあとに、
翻がえした右袖を、真二つにと断ち切りました。
下から突きあげた琴の刃先は、
近藤の左右の袂を、横一閃に切り裂きます。

 「そこまで、そこまで。
 それまでにて、
 双方とも、もう充分であろう。」

 清河が二歩三歩と歩み寄りながら、
この試合を止めに入りました。
近藤が、切り裂かれた己の袂を覗き込みながら
低い声で、豪快に笑いました。

 「薙刀であるならば、
 わしの胴は、真横に、真っ二つであろう。
 さすがに名高い天狗剣法だ、
 ひさびさに手ごたえのある立会いであった。
 弟が相手なので、
 わしが命拾いしたということであった。」

 大太刀を納めた近藤が、
止めに入った清河を、苦笑いで振り返ります。

 「清河どの、逸材である。
 沖田と競わせたら、
 双方がともに、致命傷を受けたであろう、
 聞きしに勝る剣法だ。
 おそるべしは、
 法神流の早業だ。」

 「いえ、こちらこそ、
 立場もわきまえずに、大変に失礼をいたしました
 ご教授、感謝にたえません。」

 「京都への出発は、明後日である。
 各組ごとに、30名ほどの小編成で
 中山道より、おのおの上洛の予定といたした。
 兄の良之助殿と共に、
 わが近藤隊に加わるがよかろう。
 世話役は、土方と沖田の両名とした。
 ゆるりと休息をされるがよい、
 出発が待ち遠しいのう。」

  立会いを終えた近藤が、琴をねぎらいました
くるりと背を抜けた近藤が、四天王たちに声をかけてから清河と共に
本堂の奥へと消えて行きました。