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舞うが如く 第2章 7~9

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(8)琴の秘剣

 所用を済ませた清河八郎が、ただならぬ気配を察知して
本堂から、人だかりの境内へと降りてまいります。
試衛館四天王の一人、土方歳三がいち早く気づいて席を立ちますが、
それを清河が手で押しとどめます。

 「近藤が真剣を用いているとは、珍しいことだ。
 相手は見たことのない剣士であるが、
 そうとうな使い手か。」

 「先ほどに、
 沖田が名乗りをあげましたが、
 沖田では役不足で有ろうということで、
 近藤が、自ら立ち会うことになりました。
 トンビに油揚げをさらわれたようです、
 そうであろう?、沖田。」

 そう声をかけられた
沖田総司が、憮然と腕を組み直します。
清河が沖田の肩に手を置いて、笑い掛けました。
 
 「トンビに、油揚げをさらわれたのか? 
 惜しかったのう沖田。
 おぬしが一番であることは、わしもよく知っておる。
 だがそれ以上に、ひさびさの近藤の剣のほうにも興味があるのう、
 本気の近藤の剣は、岩をも砕くという噂だが・・・」

 近藤が大太刀を正眼に構えたまま、
どっしりと腰を落とします。
2間半ほどの間合いを保ったまま、琴が左へと半円を描きます
ゆっくりと回り込む琴から目線を外すことなく、
不動なままの近藤が、静かに呼吸だけを計り続けます。

 剣先を下げた琴の太刀が、さらに最下段にと沈みこみ、
地面をすれすれに滑ります。
そのまま自身の背後へ、その刀身が隠れました。

「来る」。

 近藤が直感したその瞬間、するどい気合とともに
身を翻した琴が、軽やかに宙を舞って、
一気に間合いを詰めました。

 「もらった!」

 瞬時の気合とともに、
近藤の渾身の大太刀が、唸りを上げて、
袈裟がけに振り下ろされました。