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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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クリスマスイブの物語

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そして、夜9時過ぎてから……。

ワタクシの場合……
「ありゃ。どうしよう。パソコンがおかしい」
9時半に帰ってきた夫に、食事の後、パソコンをみてもらう。
時間は刻々と迫る。
(ああ、あと10分ではじまっちゃう。どうしよう)
夫はうまくいかないらしく、いらいらしている。こんなときに空を見上げるなんて、いえやしない。
ただひたすらパソコンが早く直ることを祈るしかない。
ついに時間がきた。
そっと、掃き出しから体を半分外に出して、空を眺める。
みんなのことを落ち着いて考える余裕もない。

同じ頃、みんなそれぞれの場所で見上げていた星空。

Bの場合……
デッキに出て、娘とふたりジュースで乾杯。
「○○さんの健康と幸せを祈って」
「△△さんの病気が早く治りますように」
「それにしても寒いね」
「でも、心はあったかだよ。かんぱーい」

ほとんどの人はBと同じように何事もなく、普通に空を見上げていた。

犬の散歩に出たC。
空を眺めながら散歩を終え、家に入ろうとしたところで転んでしまい、ひざっこぞうをすりむいた。
「あいたたた」

「あなた。たくさんの方が掲示板に書き込んでくださったわよ」
とプリントアウトした掲示板への書き込みをもって奥さんが病室を訪れ、一緒に窓から空をみていたD。

同じように入院していて、病室からは空が見えないと、こっそりトイレの窓からのぞいたE。

うっかり寝てしまって、目が覚めたら11時過ぎていたという人もいた。

たった10分間にいろいろなことがあった初めてのイベントだった。