クリスマスイブの物語
2003年12月24日
その日は朝から落ち着かなかった。
クリスマスイブだからというわけではない。
もちろん、家族のクリスマスパーティの用意はばっちりしてあるので、何の問題もない。
けれど、今年のクリスマスイブの夜だけはいつもと違っていた。
インターネットを初めて、同じ趣味を持つたくさんの仲間が出来た。
その仲間は全国に散らばっている。当然、滅多にあうことは出来ない。
そんな私たちが、掲示板で話し合い、だったら同じ時間に同じことをしたらどうかということになった。
それにはクリスマスを利用するのがいい。
イブの夜、時間を決めて空を見上げるのはどうだろうと。
全員が賛成した。
そのとき掲示板にいなかった人たちにも、メールやそれぞれのHPに書き込みにいって知らせた。
そして迎えたクリスマスイブ。
夜10時から10分間、空を見上げるのだ。目印はオリオン座。
わからなければ、どこでもいいから見上げればいい。
たったそれだけのことなのに、朝からどきどき、わくわくしていた。
カウントダウンしながら、あちこちの掲示板に足跡を残していく者もいた。
作品名:クリスマスイブの物語 作家名:せき あゆみ