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舞うが如く 第1章 13~15

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 「やい、山崎。
試合を望むものが、この有り様はあまりにも卑怯千番。
武芸者ならば、いざ尋常に勝負いたせよ!」

 と声をかける房吉に、当の山崎孫七郎は、
大太刀を構えたままで微動だに動きません。
あからじめ房吉が小刀の名人とも聞き及んでいるだけに、
その包囲網を少し狭めただけで、その先へは、
誰一人として踏み込んでいけないのです

 そのころになると、
屋根のつぶても尽きたと見えて、
今度は手当たり次第に、瓦を剥がして投げつけてきました。
足もとには砕けた瓦が、がれきの様に降り積もります

 房吉は左右に身をよけて、瓦をかわしながらも、
間合いを詰めかねている取り巻きたちに、鋭い剣先を見舞い続けます。
石と瓦の効果もなく、手傷を負う配下の者が増えるの見ながら
もはや最後の手段と、伊乃吉が背後へと目配せをしました。

 突然鳴りだす太鼓の音とともに、
勝手口の格子窓から、狙いを定めた鉄砲が放たれました。
そのうちの一発が房吉の太股を撃ち貫きます。