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舞うが如く 第1章 1~4

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(4)神童・房吉(前)


 話が、少し時代をさかのぼります

 利根郡では
「東入(そうり)に過ぎたることが二つある、
賢和(けんな)の筆に、後の房吉騒動。」とうたわれました

 賢和は戸倉(とくら)の出身です。
江戸に出て、書家の三井親和(しんな)の門弟となり
書の達人といわれ、いまでも出生地や近在のあちこちに
見事な作品群が残されています。

 房吉は、幼い時から法神に学び、
その奥義を伝授された後に、諸国を遍歴しながら、
さらに武者修業を重ねました。
請われて江戸に出て道場を開き、
多くの門人を養成しました。


 生涯・不敗の剣士として今も燦然(さんぜん)とその名を残す
法神流の伝説の剣士のひとりです。
江戸で活躍し始めたころから、房吉は自らの剣法を
「深山・法神流」と名乗りました。
門弟も多く、江戸では二つの道場が開かれて、
その名はますます時勢に乗りました。


 もともと、神童と呼ばれました。
生まれは寛政2年、1月3日、赤城の大沼から流れ出る
沼尾川に沿った深山村です。
その先祖は、源頼信の子、須田小太郎季末の後裔と称して、
家は代々裕福で、祖父の名前は、治佐衛門といい、
たいへんに腕の立つ剣士でした。