小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ねえ、言ってよ

INDEX|3ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 


「今度の面談は、やっぱり進学の話が出るのかな」
仁実は息子に話しかける。
「たぶん」
「どこか行きたい目標の学校はあるの?」
「まだ分からん。入れる頭かどうかも分からん」
「そうなの?まあ、お母さん的には、楽しめるところだといいと思うけど、先生に聞いてみないとね」
「聞くって、勉強のない学校ありませんか?って」
熱いグラタンを口の前で冷ましていた妹が笑った。
「あるの?」
「あるわけないだろ」と息子は切り返す。
「それはちょっとお母さんでも聞けないわ」
「まあ、適当に話聞いて来てよ。ごちそうさま」
息子は部屋へと戻っていった。
「美味しかったー。ごちそうさま。食器どうする?」
「ああ、そのままでいい。あとから片付けるから」
妹はリビングのテレビでお笑い芸人のバラエティー番組をつけた。
以前ならもう一時間前のアニメをかじりついて見ていたのだが、(かわったんだな)と成長を嬉しく感じた。
それにしても、夫はどうしたのだろうと、テーブルの上の食器を流し台に片付けながら
部屋の方を見た。
濡れた手をタオルで拭い、様子を見に行こうと廊下まで来た時、ドアが開いた。
「大丈夫?ご飯食べる?」
「ああ」
「じゃあ、温め直すわね」
「そのままでいい」
正敏は、腰掛けると前にあるグラタンを一気に食べ終えた。
「寝る」
「お風呂は?」
「朝」
また、部屋へと戻って行ってしまった。

作品名:ねえ、言ってよ 作家名:甜茶