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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十回・弐】おふくろさんよ

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緊那羅がオタマでグルグルと鍋の中をかき混ぜている
「今日はカレーなんだやな~!」
コマが台所に入ってきて鼻を動かした
「普通のワンコは食えないんだやな~…ゴ等は幸せなんだやな」
イヌもうっとりしながら言った
「…緊那羅?」
コマが緊那羅を呼んだ
「きーんーなーらー?」
イヌも緊那羅を呼んだが反応がなくただオタマを持った手がグルグル動いているだけだた
「…どうしたんだやな?」
「さぁ…」
コマとイヌが顔を見合わせて首をかしげる
「変なんだやな」
「変なんだやな」
コマとイヌがそう言って頷いた
「…はぁぁ…」
ぴたっと手が止まったかと思うと緊那羅が大きな溜息をついた
「…緊那羅?」
「なんだっちゃ?」
イヌが緊那羅を呼ぶと今度は返事が返ってきた
「緊那羅変なんだやな」
イヌが言うとコマが頷く
「え…?;」
指摘が図星だったのか緊那羅が驚いた顔をした
「や…あの…;…そう…だっちゃ?;」
緊那羅がしゃがんでコマイヌの目線で真顔で聞いた
「うん」
コマイヌが揃って頷く
「…はぁあ…;」
緊那羅がまた大きな溜息をついてそして立ち上がった
「どうしたんだやな」
コマが聞くと緊那羅がガスコンロを止めて鍋のふたを閉めた
「私にもよくわからないんだっちゃ…はぁ;」
鍋のふたの取っ手に両手を添えて緊那羅がまた大きな溜息をつく
「でもなんだか…溜息ばっかりでるんだっちゃ…」
顔を上げた緊那羅がまた溜息をつく
「幸せが逃げるんだやな」
イヌが言う
「溜息はしちゃだめなんだやな」
コマも言う
「…はぁ;」
「言ってる傍からしないで欲しいんだやな;」
緊那羅がまた溜息をつくとイヌが突っ込む
「本当…なんなんだっちゃ…」
緊那羅が肩を落としてまた溜息をついた

「あ、今カサッっつーた」
京助が言う
「アンタ…耳掃除くらいちゃんとしなさい?;」
母ハルミが京助の耳からゆっくりと引き上げた耳掻き棒の引っかき部分にはこんもりの耳クソ
「昔は嫌がってたのにねぇ」
こんもりの耳クソをティッシュにこすり付けて母ハルミが再び耳掻き棒を耳に入れた
「昔は…俺も若かった」
京助がフッと笑った
「何いってんの」
母ハルミが突っ込む
「相変わらず固い髪ねぇ…」
母ハルミが京助の髪を撫でた
「生まれた時は本当に毛が生えてくるのかって思うくらいキューピーちゃんだったのにねぇ」
「あのな;」
京助の髪をツンツン軽くひっぱって母ハルミが溜息混じりに言った
「本当…でっかくなっちゃって」
耳掻き棒が再びゆっくり京助の耳の中で動き出した
「いつかアンタも男になってお嫁さん貰ってくるのかしら」
「は?;」
母ハルミが言うと京助が少し上を向いた
「ホラ! 動かないの!!」
京助の頭を掴んだ母ハルミがまた横を向かせる
「京助はアレよ? …アンタの父さん…竜之助みたくお嫁さん置いていっちゃダメよ?」
耳掻き棒を耳から抜きながら母ハルミが言う
「精一杯幸せにしてあげないと母さんが怒るわよ?」
「あのな; 俺まだ14歳です母さん;」
母ハルミが言うと京助が突っ込んだ
「あっという間よ…ついこの間まで抱っこできてたんだもの」
ふわっと髪に母ハルミの手が置かれそれがゆっくり動いた
「今じゃ膝枕くらいしか出来ないでしょ」
京助の頭を母ハルミがゆっくり撫でる
「アンタ…こうやって頭撫でてるとすぐ寝てたのよ」
母ハルミが笑った