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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十回・弐】おふくろさんよ

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「…京助?」
緊那羅が小走りで京助の後を追って廊下に出る
「どこ行くんだっちゃ?」
そして京助の背中に聞いた
「雪かき」
振り向かずに京助が答える
「雪…かき…あ私も…」
「お前はカレーを作るという使命があんだろ」
今度は振り向いて京助が言った
「それに寒さハンパねぇぞ」
ヘッと笑った京助に緊那羅の顔が少し引きつった
「お気をつけて京様~!!」
ヒマ子が茶の間から半分体を出して言った
「…いってらっしゃいだっちゃ」
緊那羅も小さく言うと聞こえたのか聞こえてないのか京助がヒラヒラと手を振った
「面倒くさいね緊那羅」
慧喜が言う
「何がだっちゃ;」
買い物袋を持ったまま緊那羅が慧喜を見る
「イロイロ…ね~ー? 悠助ー」
慧喜が悠助を抱きしめた
ストーブの上にかけてあるカレー (味付け前)の鍋がコトコトといい始めた


まだ吹雪がやまない外に再び出た京助が買い物前に母ハルミがいた社務所前までやってきた
「スゲェ;」
暴風雪の中京助が呟いた
社務所入り口から家の玄関先まで綺麗に雪が掻いてあった
「…手伝うことねぇじゃん;」
京助が頭を掻いてそして社務所の戸に手をかけた
戸を閉めるとオォオオンという風の泣き声が耳に付きそして鼻には香ばしいコーヒーの香りがついた
ギシっと音をさせて京助が玄関にしかれているスノコに靴を脱いで上がるともう片足で社務所に上がる
入ってすぐにあるのは給湯室とかこつけた小さな台所
少しいくと物置になっている部屋が一つ
その向かいの少しレトロなガラス戸の向こうに母ハルミの姿があった
「よぃっす」
少し建付けが悪いレトロなガラス戸がキュキュキュと言いながら開けられ京助が片手を挙げた
「あらおかえり」
母ハルミが振り返って言う
「雪掻き終わってんじゃん」
京助が上着を脱いで丸く小さな昔ながらの石油ストーブに両手を向けた
「アンタが遅いからよ」
再び机の方に体を向けた母ハルミが言う
「ヘイヘイ…さようですね;」
京助が口の端をあげて言った
「で? なにしにきたの?」
何か書類を書きながら母ハルミが聞いた
「別に…」
京助がボソッと答える
「コーヒーは?」
「いらねぇ」
「そう」
トントンと進んだ会話が途切れてストーブの上のヤカンがシュクシュク言い出した

「…カレーにさ」
京助が口を開いた
「カレーにうずら入れるっていうのウチだけなんだか?」
京助が言う
「ああ…そうかもね私が好きだから入れるの」
母ハルミが言った
「俺も好きだけどさ」
京助が言う
「…母さんってさ…」
「なぁに?」
京助の言葉に返事をした母ハルミの言葉から少しの沈黙
「…母さんが何?」
ふぅと溜息をついて母ハルミが振り返った
「…父さんがその…少し違うやつだって知ってたのか?」
京助がぼそぼそと聞く
「知らなかったわよ? たぶん…でも変わってたのは知ってたと思うわたぶん」
母ハルミが言う
「…その二つはどう違うんだよ; そんでたぶんってなんだよたぶんって」
京助が突っ込む
「たぶんだからたぶんよ。そんな昔のこと覚えてるわけないでしょ? アンタの母親なんだから」
何故か誇らしげに母ハルミが言った
「昨日…さ…見たろ?」
今は何もなくなった自分の背中を京助が指差した
「俺と悠の背中の…」
「見たわよ? だって見せにきたじゃないの」
母ハルミが言う
「どう思った?」
京助が聞く