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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十回・弐】おふくろさんよ

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午後九時半を指した時計が尚も時を刻む茶の間にほのかに香る消毒液のにおい
頭にタオルを乗せた京助の視線の先には足に包帯を巻く緊那羅
「…痛いっちゃ?」
「うんにゃ」
包帯の巻き加減を聞いた緊那羅に京助が答える
「昼間は痛かったけどな」
京助が鼻クソをほじりながら言った
「京助…」
しばらく間を置いて手を止めた緊那羅が俯いたまま京助を呼んだ
「何だ?」
フンッと鼻息を出しながら京助が返事をした
「……」
京助の返事に緊那羅の返事はなく
「…何だっつーの;」
京助が言いながら緊那羅の頭を突付いた
「膝枕…」
「は?」
緊那羅が小さく言うと京助が聞き返す
「膝枕なら私にもできるっちゃ」
「は?;」
顔を上げていった緊那羅に今度は京助が疑問系で聞き返した
「ハルミママさんにはなれないっちゃけど…でも膝枕なら私にも出来るっちゃ」
間抜け面した京助の頭からタオルが落ちた
「…何言ってんだお前;」
京助が言う
「…私の前ではわがままでもいいっちゃ…だから我慢しないでいいんだっちゃ」
緊那羅が言った
「我慢って…何をだよ;」
包帯巻きたての足であぐらをかいて京助が聞く
「京助は私が守るっちゃ…体はもちろん心も」
京助をまっすぐ見ながら緊那羅が言う
「…あのな…俺は別に我慢なんてしてねぇし…それに…」
「私が男でハルミママさんじゃないからだっちゃ?」
京助が言い終わらないうちに緊那羅が言った
「私は京助の全部を守りたいんだっちゃ」
緊那羅が真顔で京助に言う

「…なんでだよ」
間を開けて京助が緊那羅を見た
「京助が京助だからだっちゃ」
それに緊那羅が何の躊躇いもなく答える
「…ソレ答えか?;」
「そうだっちゃ」
京助が聞くと緊那羅が即答した
「京助が京助じゃなかったら私は守りたくないっちゃ」
緊那羅が微笑む
「…なんだソレ…」
京助が顔をそらして頭を掻いた
「私が京助を守りたい理由だっちゃ」
緊那羅が言うと京助が頭を掻いていた手を止めチラッと横目で緊那羅を見た後 緊那羅の膝めがけて頭を倒した
「…もう少し肉つけろ」
「悪かったっちゃねッ;」
「…さんきゅ」
京助がボソッと言った

「ねぇ慧喜~」
悠助が隣にいる慧喜を呼んだ
「何?」
慧喜が返事をする
「僕ねいいお父さんになるからね」
満面の笑みで悠助が言う
「そして慧喜といっぱい子供作るの」
寝ていた布団から体を起こして悠助が嬉しそうに言った
「悠助…」
慧喜が少し驚いたような顔をした後嬉しそうに微笑む
「俺…悠助に会えてよかった」
起き上がった慧喜が悠助を抱きしめた
「悠助…俺を置いていかないでね…」
「うん!!」
小さく言った慧喜の言葉に悠助が強く返事をした