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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十回・弐】おふくろさんよ

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「あ」
勢いよく開いた襖の方向を一同が見た
「ヒマ子義姉様…」
「ヒマ子さん…;」
慧喜と緊那羅が同時に言う
「な…」
ヒマ子の目が大きく見開かれる
「あ~ヒマ子さんだ~」
悠助が暢気にヒマ子に手を振った
「な…な…」
ヒマ子の震える両葉がゆっくりと上がっていく
「…義兄様…」
慧喜が京助を見ると持っていた緊那羅の両足を離して京助が自分の両耳をふさいだ
「悠助耳ふさいで」
「うん?」
慧喜が悠助に言うと悠助が慧喜の足を離して耳をふさぐ
「母さんも緊那羅もふさげ;」
京助が言うと首をかしげながらも母ハルミと緊那羅が耳をふさいだ
それから間もなく

「なにをなさっているのですか------------------------------------------------------------------------!!!!!!!!」

ドサササササササ…

ヒマ子の叫び声に家が少し揺れた気がしたかと思うと屋根にあった雪が一斉に落ちる音がした


「まごっちょ~;落ち着いてくりゃれ…ッ;」
阿修羅が吹っ飛んできたツボのようなものを避けながら言った
「俺は知らないぞ…緊那羅」
上から下まで黒く長い衣装を纏った後姿が言う
「いい加減 緊那羅離れしたらどうですか?」
阿修羅の少し後ろで乾闥婆が言った
「うるさいッ!!」
「どぁっ!;」
怒鳴り声とともに今度はなにやら壁掛けらしきものが吹っ飛ぶ
「緊那羅は宝珠をもったんだろう!? ならどうしてコッチに帰ってこない!? どうしてアッチに行ったっきり…戻ってきたと思えば…もういない…」
阿修羅に【まごっちょ】と呼ばれた黒尽くめの人物がうなだれた
「緊那羅は自分の居場所を見つけたんです」
乾闥婆が言う
「竜のボンがいるトコ…か」
「…栄野京助」
阿修羅がボソッと言うとまごっちょが京助の名前をフルネームで言った
「あ、そうそうまごっちょ~…竜のボンになんかしたら緊那羅がひっぱたくっていってたん」
阿修羅がぽんと手を叩いて言うとまごっちょがびくっと体をすくませた
「…ひっぱたく…?」
「おうとも」
まごっちょが小さく聞き返すと阿修羅が大きく頷いた
「緊那羅が俺を…」
まごっちょがフルフルと震えた
「…ヤレヤレ;」
阿修羅が溜息をつくと乾闥婆もその後ろで大きな溜息をついた