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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十回・弐】おふくろさんよ

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「僕…」
悠助が小さく言葉を発した
「僕は…お父さん知らない…」
悲しそうに悠助が言う
「俺だって知らんがな;」
京助がしゅんとなっている悠助の頭に手を置いた
「悠助…俺が知ってるだけでいいなら竜…悠助と義兄様の親のこと教えてあげるよ」
悠助の頬にキスしながら慧喜が静かに言った
「慧喜…うん…」
悠助が嬉しそうに慧喜に頬刷りする
「ッて言っても…前の【時】の時の話になるんだけどね…」
「前の…」
「【時】…」
慧喜の言葉に続いて京助と緊那羅がいった
「俺が見た竜はハルミママ様が言うようなヤツじゃなかったよ。四枚の羽根を持って四本の角があって…」
「ちょっと待て;」
慧喜の話に京助が手を前に出してストップをかけた
「何義兄様?」
慧喜がきょとんとした顔で京助を見た
「角に羽根って…何者?;」
「竜」
京助の質問に慧喜がさらっと答えた
「いや…ハイ; ワカリマシタ;」
何のためらいもなくさらっと答えをもらった京助が引っ込んだ
「…悠助より少し濃い目の緑の髪を長く編んで…ただ一人 制多迦様と互角に…」
「制多迦?;」
慧喜の言葉にまた京助が突っ込んだ
「アイツ…つえぇの?」
「うん」
京助が聞くと慧喜がまたさらっと答えて頷いた
「人は見かけによらないわねぇ…本当」
母ハルミが笑う
「制多迦様は…でも…あの制多迦様は俺の知ってる制多迦様じゃないんだ…」
「慧喜の知らないタカちゃん?」
小さく言った慧喜に悠助が聞いた
「何それ; なんだか聞いてて本当こんがらがるんですけど;」
京助が口の端をあげて言う
「とにかく竜は強いんだ…ううん強かった」
慧喜が言い直した
「最高位の宝珠を持ってた」
慧喜が言うと緊那羅がハッとして自分の腕についてる宝珠を掴んだ
「最高…ほー…やっぱソレで階級とかきまるん?」
慧喜に聞く京助を緊那羅が見た
「あるよ。どうやって決まってるのかわからないけど…赤、金が最高だって」
「…慧喜…」
慧喜が言うと緊那羅が小さく慧喜の名前を言った
「…だよね緊那羅」
何かを隠しているのを隠すかのように慧喜が緊那羅にふった
「あ…そうだっちゃ確か」
緊那羅がソレを感じ取ったのか頷く
「竜の持ってたのは金」
慧喜が言うと京助が何か変なことを思いついたのか一瞬止まった後顔をそらした