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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第十回・弐】おふくろさんよ

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「…どーどー…;」
フンっと鼻息を出した母ハルミの肩をポンポンと京助が叩いた
「あら起きたの」
京助を見て母ハルミが言う
「あんだけでっけぇ声だしゃいくら俺でも起きるわ;」
京助が体を起こした
「おはようだっちゃ」
緊那羅が言う
「…おす」
京助が頭を掻きながら返した
「緊那羅に怒鳴ったって仕方ねぇじゃん;」
「それはそうだけど…そうよねぇ;」
京助が突っ込むと母ハルミが苦笑いを浮かべた
「でもま…俺も一回は見てみたいかな」
京助が言う
「思い出せないっていうの…やっぱ何かあるんだろうな」
京助が緊那羅を見た
「あ…えと…私は…ごめんだっちゃ…」
緊那羅が俯く
「鳥類や乾闥婆は絶対教えてくれねぇだろうけど…」
京助が溜息をついた
「…竜は…迦楼羅以上の力を持つ…【天】の要のような存在だったって…聞いたことがあるっちゃ…でも変わった志向を持って上からは目の敵にされていたって…」
緊那羅が小さく言った
「あの竜之助が?」
母ハルミが信じられないという顔で言う
「ナメコをのっこり入れた味噌汁出したら半べそかいた竜之助が?;」
「…はぃ?;」
母ハルミが言うと京助と緊那羅がハモった
「あ、竜之助ねナメコ大ッ嫌いだったの」
母ハルミがチョイトという手付きをして笑いながら言った
「…ナメコ…;」
京助が口の端をあげた
「ナメコって…あのヌルヌルしたキノコだっちゃ?」
緊那羅が京助に聞いた
「んだ;」
京助が口の端をあげたままで答えた
「悠助大好きじゃなかったっちゃ?;」
緊那羅が再び聞く
「…まぁ…な;」
京助が再び答えた
「ヌルヌルしたのが大嫌いでねー…ナメクジ一匹に対して鷲掴みにした塩をかけたこともあったわー…」
母ハルミが言う
「…なんだか…全然弱そうに思えてきたっちゃ;」
緊那羅が呟く
「弱かったわよ?」
母ハルミがさらっと言った
「だからさっき驚いたの…要っていったじゃない?」
母ハルミが言うと緊那羅が頷いた
「でも…強いって…みんな言ってるんだっちゃ; 宝珠も…」
ソコまで言って緊那羅がはっとして口を閉じた
「宝珠…やっぱ父さんも宝珠あったんだな」
京助が緊那羅を見た
「…あ…う…ん……最高位の宝珠を持ってたらしいっちゃ」
「らしいかよ;」
緊那羅(きんなら)が言うと京助が突っ込んだ
「私も阿修羅から聞いただけ…だ…っちゃし…私は直接竜に会った事はないんだっちゃ;」
所々躊躇いながら緊那羅が言った
「初めてあったときから変わったやつだとは思ってたけどねぇ…」
フフッと母ハルミが笑った
「そういや…どうして母さんと父さん…どうやって出会ったんだ?」
京助が聞くと緊那羅も母ハルミを見た
「聞きたい?」
母ハルミが笑った
「あ…まぁ…」
京助が頭をかきながら言う
「じゃぁ…家で話すわ。お腹減ったしね」
母ハルミが立ち上がってストーブのスイッチを切った