アイラブ桐生 第三章
(10)第三章 輪島から兼六園へ(その2)前半
国道160号線は、
能登半島の東海岸線に沿って、きわめて海に寄り添いながら
ひたすら北上を続けて行きました。
まるで河の堤防上を走っているような錯覚をおぼえるほど、
実に快適で、見晴らしのきく道路です。
小高いと感じた丘陵部を越えると、
今度は長くゆるやかに下り始めて、やがて前方に
低い街並みを見せてくれ始めました。
七尾の市街地です。
車がさらに、和倉温泉街の林立したホテルや旅館などを抜けると
展望が急に開けて、湾内にある能登島が東の海上に現れてきました。
道路はそこからさらに、
能登湾の海岸にそって左から右手方向へと回り込み、
北東へ向かう雰囲気を保ったままさらに東海岸を
北上していく様相を見せています。
輪島があるのは、正反対の西海岸でした。
その輪島市に向かうためには、もうこのあたりから、
能登半島を西側へと横切って、日本海の外洋に面した
西の海岸線に出る必要がありました。
作品名:アイラブ桐生 第三章 作家名:落合順平