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アイラブ桐生 第三章

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 能登半島の付け根、氷見をすぎるころには、
真夏の太陽がすでに頭の上で今日も激しく気温をあげはじめました。
エアコンの目盛りをひとつ、あげることにしました。


 「お腹、すいたね」
 レイコが、ポツンとつぶやきます。


 大きく入り江を回り込んんでいく道の突端に、
キラリと屋根が光っている、ドライブイン風の建物が見えました。

 とりあえず、休憩と決めて
寄りこんだのは、地元の海産物を扱っている漁港のお土産処でした。
なんでもいいさ、休めるのなら・・と
背伸びをしながら裏手へ回ったところで、思いもかけない
地元の絶景が飛び込んできました。

 「へぇぇ・・」

 思わずフェンスに両手をついて、海に向かって思い切り身体を乗り出しました。


 足元から一気に削りとられた断崖が、
その急角度を保ったまま、海の底へと吸い込まれていきます。
真っ白い海底の砂のひろがりの中には、青い海藻と黒茶色した岩礁が
どこまでも交互に重なりながら、はるか沖合にまで
その縞模様を織りなしていました。
水の色さえ感じさせないほどの、こんなにも透明な海は見るのは、
生まれて初めてともいえる体験です。

 「わぁ、絶景!」っと、

 海面を覗きこんでいる私の右の脇の下から、レイコが
ひょっこりと顔をのぞかせました。
お前、そんなところから・・


作品名:アイラブ桐生 第三章 作家名:落合順平