アイラブ桐生 第三章
初耳でした。
レイコに、誕生日祝いのプレゼントを届けてもらって以来、
合うことも無くなり、ついにはそのまま
放置といえる状態のままでした。
「あんたが勝手に転校をして、
思う存分、柔道に励んでいた頃に、M子は毎日泣いてたわ。
捨てられた訳じゃないけれど、
ほとんどなんの相談も無く居なくなられたのでは
M子も辛すぎたわね。
結局、そんなM子を優しくいたわってくれた
遠い親せき筋の男の子が、
あなたの身代わりをしてくれたわ・・・
ということで、
二人は、そのままゴールイン。」
「そうだったんだ・・・」
「いいんじゃない別に。
つき合っていたことは事実でも、あんたはM子に、手も足も、
ちょっかいも出したわけではないし、
将来を約束し合っていた訳でもないんだから・・・
それほど、気にはしなくても。」
女同志のおしゃべりいうものは、
いったいどこまで、
どんな内容にまでおよぶのでしょうか・・・
当人同士だけの秘密や内緒と思っていた事がらまでが、
実に見事に、筒抜けになっている
そんな気配が濃厚にしました。
「そうだ・・・
着替えておけば、兄貴の分を借りてきたから。」
なんで大量に、男物まで借りていくのか、
M子は、不思議には思わなかったのでしょうか・・・
それともレイコが、
よほど上手く言いくるめたのか、
ちゃんと、男物のシャツが3枚も綺麗に折りたたまれて
用意されていました。
3枚・・・?
その枚数にも驚きましたが、
もっと驚いたのは、大量の文庫本が転がり出てきたことです。
見ると、「青春の門」の全巻でした。
作品名:アイラブ桐生 第三章 作家名:落合順平