アイラブ桐生 第三章
(11)第三章 輪島から兼六園へ(その3)後半
しかし輪島へ行きたいという当初の目標は、
無事に達成をしたために、もう先を急ぐ必要はなくなりました。
レイコものんびりとした様子で、流れる景色にぼんやりとしています。
たぶんこのまま金沢まで、のんびりペースのドライブが楽しめる、
そう決め込んでいたら、またまたレイコが、
何かを見つけてしまいした。
「渚を・・・車で走れるって・・へぇ~
よし、行こうッ。」
千里浜なぎさドライブウェイでした。
日本で唯一、一般車両やバスなどがその波打ち際を、約8㌔にもわたって
走行することができるという、観光用の道路でした。
その看板が、レイコの目にはとまったようです。
なぎさドライブウェイは、
極めてきめの細かい砂が砂浜の全体を、ぎっしりと敷き詰めていました。
この砂の密度が、重量のある車両の走行も可能にしています。
走行する車たちによって造られた何本もの轍が、延々と続いて見える
薄茶色の海岸でした。
展望台にもなっているドライブインの屋上から
はるかに続いていくそんな、地上線と水平線の様子をながめていたら、
下の方からレイコの声が聞こえてきました。
「降りて来い」と呼んでいるようです。
作品名:アイラブ桐生 第三章 作家名:落合順平