アイラブ桐生 第三章
結局、子供たちとは
夕暮れ近くまで遊んでしまいました。
すこし昼寝などしようと思う間もなく、はしゃぐレイコにせかされて
私まで、子供たちと延々砂浜で過ごす羽目になってしまいました。
夕食は、老夫婦と二人のお孫さん、
その真ん中に座ったレイコと、少し離れた私の6人でした。
夜になると民宿では、窓も障子もすべてを開け放ち、
寝室には、すでに蚊帳も吊られています。
うだるようだった昼間の暑さもどこかに消えて、
吹きこんでくる潮風は涼しいどころか、肌寒いほどになりました。
この地域では、交番が必要ないというくらい治安が良いために、
誰も家にはカギなどを掛けないで暮らしています。
(泥棒は、いないんだ・・)
びっくりさせられたのが、、仏壇の大きさでした。
仏間と呼んでいて、全部開けると部屋いっぱいの大きさとなり
そのすべてが仏壇で、造りも贅沢を極めていました。
家一軒分よりも、お金をかけ贅を尽くして祖先を敬うそうです。
すごいですね~などと、見惚れているうちに、
いつしかウトウトと、居眠りなどが出てきます。
口当たりの良い日本酒が、寝不足の身体に
あっというまに、酔いと眠気を誘いました。
ほとんど食事にも手を付けないうちに、落ち込むような眠気に襲われて
ついに我慢ができなくなり、ちょっぴり不満そうなレイコを
置き去りに、それじゃぁお先に・・
と言うと同時に、深い眠りに落ちてしまいました。
すこし期待はあったものの、能登半島当着の
記念すべき一日目の夜は、完璧に熟睡・爆睡の夜になってしまいました。
・追伸
湾で見つけたやぐらは、伝統漁法の「ぼら漁」でした。
四つ手に組んだ網を海中に仕掛け、魚が入った瞬間、すかさず
(人力で)すくいあげるという原始的な仕掛けです。
ぼらは、珍味「からすみ」の原料になります
たいへん高価な一品です。
(11)へつづく
作品名:アイラブ桐生 第三章 作家名:落合順平