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アイラブ桐生 第二章

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 「で、さぁ、仕事は休める。
 できれば3泊くらいは泊まりたいなぁ。
 いいでしょう?」

 またこれだ。
レイコはいつでも結論から先にものを言い切ります。
問答無用の口上も、またいつものことでした。

 新潟方面へは、国道17号をひたすら走りました。


 三国峠を越えて、
新潟県の湯沢町に入った頃には、すでに12時を過ぎていました。
眠くはないかい、と尋ねると
まったくあんたは、事情のひとつも聞かないんだから・・と、
窓ガラスに顔をくっつけたまま、レイコがポツン小さくつぶやきました。

 「じゃあ、
 細かい経緯まで聞いても、いいのかよ?」

 「いいわよ。」

 「突然、浴衣姿で現れて、
 挙句の果てには、海が見たいと言いだして。
 おまけに、3日も休みをとれという・・・
 お前、失恋でもしたのか?
 それともまた、楽器の挫折か・・
 お前昔っから、ピアノがからっきし下手くそだもんなぁ。
 保母になるのは、大変だぞ。」

 「何で、そんなことまで知ってんの。」

 「風の噂だ。」

 「そう・・・
 風の噂で、みんな知ってたんだぁ。
 じゃあぁ、
 お願いだからもう、その先は聞かないで、
 何が、あったかなんて。」
 

 「わかったよ。
 じゃあどうする、国道をまっすぐ行って新潟まで行くか。
 それとも途中から曲がって
 柏崎方面にでも行こうか。」


 どうせいつものように、「どっちでもいい・・」
とぶっくらぼうに言い捨てるのかと思っていたら、
意外なことに言いだした。
たった一言だけ、輪島の朝市が見たいとつぶやきました。


作品名:アイラブ桐生 第二章 作家名:落合順平