アイラブ桐生 第二章
レイコがようやく、戻ってきました。
見るからに、大きなバックを抱えこんでいました。
「家出みたいな、荷物だね。」
「駆け落ちするんだもの、このくらいは必要。」
「へえ~、
女が一人で、駆け落ちか?。」
「そう言うけど、
あんたの分まで、借りてきた。
M子の兄貴の着古しだけど、何も無いよりはましでしょう。
急なことなので、万一のことも考えて、
軍資金まで借りてきた。」
後部座席へ荷物を放り込み、
助手席に乗り込んできたレイコが、さあ行こうと急かしました。
・・・ちょっと待て・・・
レイコが自分の着替えを借りてくるのはいいけれど、
なんで俺の分まで用意をするんだ・・
などとぼんやりと考えていたら、早くもレイコが
行き先について、あれこれと指示を始めました。
太平洋側(茨城県)は人が多いから、
日本海側(新潟県)に行きましょうと、勝手に決めてしまいました。
レイコは準備万端で、はやく行こうよと助手席ですましています。
お前は・・・、さっきまであんなに泣いていたくせに。
作品名:アイラブ桐生 第二章 作家名:落合順平