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アイラブ桐生 第二章

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 結局、最短コースらしきものは見つからず、
六日町から、日本海沿いの上越市へなら縦走が出来そうなので、
なるべく国道を拾いながら進むことにしました。

どうせ、最初から迷子の旅路です。
すこしくらい迷ったところで軽傷で済むだろう・・などと考えながら、
右も左も見えない山道をさらにまた走ること、2時間余り。
ようやく白みかけてきた朝空の下に、まっ黒に静まり返る
水面が見えてきました。


日本海です。


 真夏の夜明けはいち早く、
午前4時になると、もう空が明るく白みました。
漆黒だった夜空も、濃紺から薄い青へとグラデーションを変え、
さらに白っぽく変わったかと思うと、日の出を迎え始めて、
また紺碧の青空がもどってきました。

 しかし、空が明るくなったとはいえ、
太陽が登りきるまでには、まだ1時間近くがかかりました。
明けそうで開けない、おいらの人生みたいだ・・とぶつぶつ言っていたら、

 「わたしの悪口だろう・・・?」

 レイコが目をさましました。
ひとの返事を聞く前に、右手に広がる日本海の広がりを見て、
やった~と元気よく、助手席から身体を
跳ね起こしました。

 「わぁ~日本海だ!」

 海なし県の本性が丸出しでした。
海を見るだけでも、この大はしゃぎようなのです。
この海との出あいの感動が大好きで、なにかにつけて海なし県の人たちは、
遠い道を、はるばると走って海へと旅をするのです。
たぶん例外なく、レイコもその一人でした。


作品名:アイラブ桐生 第二章 作家名:落合順平