アイラブ桐生 第二章
「どの辺?」
走り始めたのが、
昨日の9時頃ですから・・
かれこれ、8時間以上は走りっぱなしでした
「上越市は過ぎたから、(目標の)半分と、すこしかな・・」
「そう、止めて。運転変わるから」
そう言って車を停めさせたレイコは、
後ろからバックを引き寄せてシャツを一枚無造作に取りだしました。
着替えるつもりなのでしょうか、
目線を合わせたレイコは、にっこり笑ってから、車を降りて行きました。
やれやれ、心配した車内でのストリップだけは回避をできました。
しかしほっとできたのは、つかの間でした。
車から降りたレイコは、日本海にむかって
腰に手を当てて、胸を反らして仁王立ちになりました。
そこまではごく普通の光景と、車内から安心をして見ていたのですが
そこから先の早技が、実に凄い事になってしまいました。
シャツとG-パンを脱ぎ棄てると
躊躇することも無く、すべての下着もあっというまに脱いでしまいました。
惜しげもなく日本海に全裸をさらしつつ、悠然としたレイコが
M子から調達してきた下着と衣服に着替えを始めました。
あっけにとられたまま、目を丸くして茫然としていると
「昨日なんかは脱ぎすてたわよ。
綺麗さっぱり、サヨウナラだ!。
さぁ、行こうぜ!
希望に燃えて、輪島まで!」
人を助手席に追いたてて、
すこぶる元気よく、運転席へ乗り込んできました。
じゃあ頼むぜ運転、と言いつつ、
助手席のシートを、リクライニングに倒した次の瞬間、
車がタイヤを軋ませて、一気にダッシュで飛び出しました。
忘れてた・・・こいつは、もともと飛ばし屋です。
(9)へつづく
作品名:アイラブ桐生 第二章 作家名:落合順平