アイラブ桐生 第二章
いまなら石川県まで行くのも、
関越道から北陸高速道を走り、能登の有料道路を走れば、
6~7時間の道のりで到着をしますが、
当時はまだ、全線の高速道路がいずれも急ピッチの工事中でした。
このまま北上していたのでは、遠回りになりすぎました。
どこか途中から、左方向へと進路をとって、
斜めに富山方面に進む道が無いものかと考えましたが、
さっぱりと道が思いあたりません。
仕方ないかと・・・
適当な空き地を見つけて車を止め、ダッシュボードから
地図帳を取り出して、行くべき進路を検索することにしました。
ついでに目線をむけた助手席には、
目をつぶったままのレイコの白い横顔がありました。
わずかな月の光に照らしだされたその横顔に、
乾いて間もない涙の筋が浮かんでいるのを見つけてしまいました。
何も見なかったふりをして、
後部座席からタオルを引き寄せ、頭ほうからかけてやると、
そうじゃない、という様にふわりと顔にかけ直し、
くるりとレイコが向こう側へ、寝がえりを打ちました。
(起きていたんだ・・)
作品名:アイラブ桐生 第二章 作家名:落合順平