アイラブ桐生 第一章
アイ・ラブ・桐生 第一部
(5) 第一章 学生たちの喫茶店(中)
やはり呑み過ぎて、寝過してしまいました・・・
何時に戻ってきたのか、その記憶さえありません。
桐生駅始発の上野行き急行も、すでに出発をした時刻でした。
昨日の打ち合わせでは、これに乗車するはずでした。
桐生は、国鉄での上京にはたいへんに不便な町でした。
それは桐生市の所在が、群馬と栃木県をむすぶ国鉄・両毛線の
ちょうど中間に位置しているためでした。
最短のルートは市内南西部を通る、東武浅草線のロマンス・カーです。
時刻表を見ると、次のロマンスには間にあいそうでした。
ロマンス・カ―は、ほぼ1時間に1本の割合で運航をされ、
浅草までは約2時間余という急行電車でした。
集会には間にあわないものの、
デモ行進が始まる時間には会場入りができそうです。
じゃあ、行くか・・
でも、あいつはどうしたんだろぅ。
そう思いつつ車を走らせて、東武線・新桐生駅へいそぎました。
作品名:アイラブ桐生 第一章 作家名:落合順平