アイラブ桐生 第一章
それからの先のレイコは、自由奔放でした。
人のはなしも聞かないで、さっさと横断歩道を渡ってしまい、
雷門の方向へは曲がらずに、そのまままっすぐに歩いて
アーケード街へ消える寸前になりました。
勝手な奴だと思いながらも
見失う前に、急いで後を追いました。
駅から浅草寺への参拝では、雷門まで回り込りこんでいくと、
かえって遠回りとなってしまいます。
レイコが消えていったこのアーケード街を抜けていくことが
一番の近道で、途中から仲見世通りに
合流することができました。
仕事の都合で「かっぱ橋」道具街へは良く来るのですが、
浅草駅周辺は、余り歩いたことはありません。
時間つぶしのために、ごく近い範囲と隅田川を散策するだけで、
唯一知っている道といえば、駅と仲見せ通りを繋ぐこの
アーケードに覆われた通路だけでした。
軽い昼食を済ませてから、
二人で仲見世通りを歩き始めました。
作品名:アイラブ桐生 第一章 作家名:落合順平