小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

アイラブ桐生 第一章

INDEX|14ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 


アイ・ラブ・桐生 第一部
(6) 第一章 学生たちの喫茶店(後)



 
 「どうする?」

 私の背中に張り付いたまま動かないレイコへ、
そう声をかけたのは、上野方面へ向かう地下鉄に乗ってからすでに、
2駅も過ぎてからのことでした。

 「擦りむいちゃったぁ・・・」

 私の前に回りこんできて、
ほらと、ふっくらとした手のひらを突き出して見せました。
確かに、かすかな擦り傷の跡にはうっすりと血がにじんでいました。
でも、こいつ、こんなに可愛いくて小さな手のひらをしてるんだ・・・

 「あんなに、助けてって呼んだのに・・」

 ドキドキするほどの至近距離に、顔をよせてきて、

 「いつも肝心なときは、ダメなんだから・・」

 と、小さな声でつぶやきました。
それで気がすんだのか、少し私から離れると



 「すこし時間をつぶそうよ。」

 「ん・・・」

 「まだ、帰るには・・・すこし早いもの。」

 たしかに、予期せぬこととはいえ、
デモ行進は予期せぬ事件の突発で、予定よりもはるかに早い
解散になってしまいました。

作品名:アイラブ桐生 第一章 作家名:落合順平