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アイラブ桐生 第一章

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 さすがに通りへ出ると、
両脇を隙間なく、機動隊員が整然とならんでいました。
制服と呼ばれる乱闘服に身を包んで、ジュラルミンの盾を構え、
手には、特別仕様の警棒が握られていました。
体格はすこぶる良く、さすがに選らびぬかれた精鋭たちだけのことはあります。
その威圧感ぶりには、思わず身震いを覚えるほどに
圧倒されるものがありました。


 議事堂が近づくにつれて、さらに警護の列は厚みを増しました。
二重三重の機動隊の人垣に変わっていきます。
その背後には、窓ガラスを金網で覆った装甲車などが
幾重にも見えてくるようになりました。
いつもより、多いよなあ・・機動隊の連中が。
そんなささやき声も、聞こえてきます。

 前方が突然ざわつきはじめました。

 前後、左右に揺れ出した人の波が、
あっというまに雪崩となって、時計回りに渦を巻きはじめました。
それは禁止事項とされている、挑発的な
スクラムによる渦巻き行進でした。

 初めて目のあたりに見る光景でした。


 テレビでは見ましたが実際に見るのは初めてのことです。
大きく怒号と歓声が上がる中、機動隊とデモ隊が激しく入り乱れて、
もみくちゃの騒動が始まってしまいました。
デモの隊列は完全に止まり、参加者が四散をし始めました。



作品名:アイラブ桐生 第一章 作家名:落合順平