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アイラブ桐生 第一章

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 「前の方が何やら殺気立って、騒がしいようだけど。」

 「招かざる客だ。」

 もう一度、前方へ目をやると
原色のヘルメットに、白いタオルで顔覆う一団が
角棒を振りあげて、気勢をあげているのが見えました。
しかし遠すぎてヘルメットに、
書いてある文字までは読み取れません。

 「革マルかな・・、
 それとも中核の連中か。
 まさか、連合赤軍じゃないよなぁ。」

 「馬鹿言え。
 連中なら今ごろは、国外だ。」

 「三里塚か、成田にかかわる極左の学生たちかな・・・」

 「さぁなあ~。
 いずれにしても、排除はできないからな。
 とりあえず、今日は安保反対が第一条件の政治集会だからな。
 でも油断はするな、今日は注意しろ。
 あいつらが、
 あの連中が顔を出すと、いつもろくな事がない。」

 そういい残すと彼は、
出発を前にして、身支度と準備で騒然とする人ごみの中へ
「じゃあ、また後で」と、大きく手を振りながら
消えて行きました。


作品名:アイラブ桐生 第一章 作家名:落合順平