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理沙と武志

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7ばん


 学校に到着した武志は理沙から可能な限りすぐに離れて教室に急いだ。しかし、教室に到着してみると、理沙が武志の席に座っていた。
「いよっ、朝から元気にご苦労さん」
 理沙は元気に手を上げて武志を迎えた。なぜか良助もニヤニヤしながらその横に座っていた。武志は非常に嫌な予感がした。
「なんでお前らここに居んの?」
「つれないなー武志君。クラスメートにそんな態度はないだろ?」
「そうそう、クラスメートじゃないけど彼女にそれはないんじゃない?」
 2人の態度に武志はためいきをついてカバンを机の上に置いた。しかし、それはすぐに床に降ろされて、1枚の写真が机の上に置かれた。
「なんだそれ」
 武志はそう言いながら写真を手にとった。それには学校の塀を乗り越えようとしている不審な人物が写っていた。
「どうだ、大したもんだろ」
 良助は胸をはって得意がった。それに興味をひかれて、何人かのクラスメートが集まってきた。誰もが写真を覗きこんで驚きの声をあげた。
「何だよこの写真!」
「何だって? 昨日田島ちゃんが言ったこと覚えてるよな。まあこいつは例の不審者だ。で、これは昨日の写真だ」
「どうやって撮ったんだよ?」
「まあ、色々だよ。赤外線センサーとかな」
 良助のテンションとは逆に、クラスメート達は黙って離れていった。ふいに肩に手を置かれた良助は、振り返ってからわざとらしく驚いた顔をした。
「おや先生、今日はお早い出社ですね」
 田島は仏頂面で教室を見回した。生徒達は慌てて席に着いた。理沙と良助は特に慌てる様子もなかった。
「お前な、そういうことはやめとけ。それから里山、彼氏が恋しいのはわかるが、自分のクラスに行っておけ。あんまり担任を苦労させるんもんじゃないぞ」
 理沙は舌を出して、からかうような表情を浮かべた。
「おっしゃる通りですね、先生。それじゃ自分のクラスに戻りまーす」
 教室から出て行った理沙を見送ってから田島はため息をついて教壇に向かった。
「聞いた通り、不審者が昨日も出たそうだ。しばらくの間は強制的に早く帰らせることになるからな、しっかり覚えておけよ」

作品名:理沙と武志 作家名:bunz0u