信長、蘇生せよ、この悲観の中に
事ここに至るまでの二人の努力。
それは艱難辛苦(かんなんしんく)とまでは行かなくとも、相当に苦労な活動だったとも言える。
そして今、その結果として、切腹を断行した信長の遺体が横に転がっている。
二人はまた沈黙に陥ってしまった。
しばらくの時が流れ、奈美が言葉を選ぶように言う。
「ねえ、次の行動は?」
奈美が遂に核心を突いて来た。
封印することには何の反対もない。
しかし具体的にどう次の行動を取るべきなのか、そのアイディアを奈美は持たない。
二人の身の上に起こったこの天変地異なみの出来事。
壮絶なこの混乱の中で、どう結末を付けて行くべきなのだろうか。
その現実的なアイディアが浮かばない。
奈美は、ここは高見沢自らが案を出し、そして結論を出すべきだと思っている。
「どう封印するのか、具体策はあるの?」
奈美が再度聞いて来た。
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊