信長、蘇生せよ、この悲観の中に
奈美はそんな高見沢の同意を確認し、提案して来る。
「高見沢さん、私達の信長株価上昇プロジェクト、それを見直しする時期なのかもよ、今だったらまだそんなに大きな損失も被らないし … 」
「その通りだなあ、安土城の軍資金も、俺達の金にはならないみたいだし」
「そうよ、もうお金の問題を越えてるわ、信長君は本当に変わったわね、この間も天下布武で日本を変えるとネットで同志を募っていたわよ、それに最近南蛮渡来の鉄砲より強力な武器、無差別テロ爆弾に興味を持ち出して来ているのよ」
奈美は、最近の信長の行動を思い浮かべ青ざめている。
「そうか、もう手が付けられないか」
高見沢も困り果てた顔をしている。
「ホント難儀なことになったわよね、このままじゃ日経平均3万円になる前に、私達もテロ首謀者として逮捕されそうだわ」
高見沢は「うーん」と脳細胞を絞っている。
「たとえ朝廷・公家に乗せられたとしても、明智光秀は暴走する信長を食い止めようと本能寺の変を起こしてしまった、今初めて、その男の純な心情と勇気がわかるよなあ」
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊