信長、蘇生せよ、この悲観の中に
「信長なあ、そこまで過激にならなくてもいいんじゃないか、例えば、楽市楽座を現代版に進化させて、消費税のかからないフリーマーケットを全国展開するとか、そのような施策で経済の活性化をはかって行く、そのような、もうちょっと平和的なやり方があるだろうが」
「黙らっしゃい! 四百年経って、今からでも遅くはない、本能寺の変からのやり直しじゃ、この日本の国盗りゲーム、抵抗勢力の者どもを武力で徹底的に壊滅させる、そして最後の勝者は、拙者・織田信長となる」
サディズムの極みを、また標榜しようとするクローン・織田信長。
もう高見沢の手には負えなくなって来た。
そんな時に、奈美が心配顔で相談を持ち掛けて来る。
「ねえ高見沢さん、最近信長君って病的よ、天魔がのりうつったみたい、どこまでも暴力的破壊行為が好きなようだわ、そうかと思うと、ふうっと少年のような目をして遠い空を見つめているのよ、これって、病んでいるのよ、ちょっと危険だと思わない?」
高見沢も同じような事を感じているのか、「その通りだなあ、危ないかもな」と返した。
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊