信長、蘇生せよ、この悲観の中に
「信長よ、もうお前自身のその歪んだ天下布武の構想を捨てたらどうなんだ、今の世の中の平和を壊してまで進めることはないよ、お前に期待しているのは、無血で日経平均3万円の達成、これで日本国を幸福にして欲しいだけなんだよ」
高見沢がやんわりと注意してみると、信長は息巻いて来る。
「何を言うぞ、高殿、知っておるじゃろ、民衆は勝手気ままで邪悪のものぞ、二十一世紀の世は被害者面した連中が一杯溢れておる、言いたい放題のやりたい放題、そんな姑息で性根の腐った輩をコントロールするのは、武力が一番ぞ、そのためには、拙者が武力革命を起こし、国王になること、それしかないぞ」
高見沢が「まあまあまあ」と宥めてみても、信長はそれを無視して弁じ続けて来る。
「高殿と奈美姫の目標の日経平均3万円なんぞは、一発で達成してみせようぞ、あの蛇石の金塊資金は拙者のもの、心配いらぬ、拙者が好きなように使う」
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊