信長、蘇生せよ、この悲観の中に
最近、高見沢も奈美もどうも元気がない。
百億円の軍資金を発見したが、安土城から持ち帰って来る事が出来なかった。
そのためにプロジェクトへの資金の活用のしようがない。
残念至極だ。
しかし、今はそれにも増して、もっと大きな問題が二人を悩まし始めている。
ここまで育てて来た信長がちょっとおかしい。
もう扱い切れなくなって来た。
織田信長の本来の性格が、ますます強く表れ出て来たのだ。
本能寺の変後の四百年の歴史とは違ったシナリオを、現在の世の中に、もう一度描き直そうとし始めている。
それを言い換えれば、天下布武のやり直し。
いや、正確には少し違うようだ。
天下布武は元々暴を禁じ/兵を治め/大を保ち/功を定め/民を安んじ/衆を和せしめ/財を豊かにすると言う「七徳の武」から来ている。
そんな崇高な理念にも関わらず、武力のみをもって、世の中を押さえ込もうとする作戦を組み始めている。
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊