信長、蘇生せよ、この悲観の中に
高見沢はほとほとくたびれて来た。
自分のへそくり小金が、既に三分の一以下に目減りしてしまっている。
きっときっと楽しいはずの大人的熟年遊び。
それへの資金が捻出出来ない。
キャッシュ・フローに破綻を来して来ている。
このままの日本では景気回復に期待は持てないし、株価が上げ相場に向かう兆しも見えて来ない。
高見沢には、人生の破滅がじわじわと迫り来るのが感じられる。
「何とかしないと俺は滅びるぞ、えーい、こうなったらどうとでもなれ、花と生きて来た昭和世代、恥ずかしながらも、俺自らが日本の悲観状態を打ち破ってやるぞ、日本経済の変革を断行してやる!」
おっおー、遂に高見沢は、中年にして気が狂ってしまったのか。
なんと大胆にも、この混迷した悲観相場状態から抜け出し、株価アップのためのプロジェクトを発足させることにしたのだ。
目標はいたって単純明快。
日経平均株価・3万円の達成だ。
「うーんさてと、我がゴールは決まったが、それをどうアプローチし、どうアクションして、PDCAを回しながら達成して行くかだなあ」
高見沢は伊達に年は食っていない。
一ヶ月の熟慮の末に、遂に日経平均アップの戦略構想を練り上げたのだ。
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊