信長、蘇生せよ、この悲観の中に
俗世間には、株式投資に関わる意味深い格言がたくさんある。
そんな中に、高見沢が一番お気に入りとしている言葉がある。
【強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、幸福のうちに消えて行く】
(Bull market are born on pessimism, grow on akepticism, mature on optimism, and die on euphoria.)
なんと格調高い相場格言だろうか。
生きたマーケットの諸行無常。
株価の栄枯盛衰を言い当てて、実に妙。
高見沢はいつもほとほと感心している。
まさに株式遊びの至言だ。
しかし、残念ながら現実はかなり違う。
「強気相場は悲観の中で生まれるってか、なるほどなあ、しかしここずうっと悲観ばっかり、まさしく今がブル・マーケット(牡牛(おうし)市場)の始まりであるべきだと思うけど、それにしても、この悲観はスゴイ、ひょっとしたら歴史上、人類が経験した事のない連続悲観なのかも知れないなあ … 強気相場が二度と生まれない、永遠に続く悲観だったりしてなあ」
そして、この現実の不幸状態を表す格言、それはこれしかないと、高見沢は寂しく詠み換えるのだった。
【弱気相場は … 悲観の中で育ち、落胆の中で連続し、失望と共に成熟し、不幸の中でより悲観となって行く】
作品名:信長、蘇生せよ、この悲観の中に 作家名:鮎風 遊